HACCP(ハサップ)とは
飲食店のHACCP義務化、何をやればいいのか?
HACCPとは、Hazard Analysis and Critical Control Point(危害分析に基づく重要管理点)
HACCPはもともと宇宙食の製造に用いられた手法の一つ
HACCPの概念は1960年代のアメリカで、「アポロ計画」に起源といわれています。例えば宇宙飛行士が宇宙食で食中毒など体調不良になってしまうと対応ができません。そこで宇宙食は徹底した品質管理のもとで製造することが求められました。その品質管理の手法として導入されたのがHACCPです。
過去の大規模食中毒事件発生が要因でHACCPが義務化され、日本では1996年から「総合衛生管理製造過程承認制度」によってHACCPが導入開始しました。当初は乳・乳製品、食肉加工製品など対象となる食品の製造・加工過程においての導入が食品衛生法で定められていました。しかし、2000年に総合衛生管理製造過程の認証施設において患者数が13,000人を超える大規模な食中毒事件が発生。
制度が見直され、食品を取り扱う全事業者にHACCPの導入が決まりました。
飲食店では具体的に何をすればいいのか?
一般衛生管理
一般的衛生管理とは、HACCPを構築するための土台であり「製造環境の清潔を保つ」、「異物・ゴミ・微生物を減らす」、「5Sを徹底する」といった基本的な衛生管理を行います。
重要管理点の管理
重要管理点とは、HACCPの衛生管理手法において、食品からリスクを取り除くために特に重要となるチェックポイントのことで、その管理のことを言います。
かみ砕くと
①今、行っている作業工程の文書化・記録化
②不足している衛生管理工程は追加
③調理工程(製造工程)から重要管理点を理解・管理
①の例
- 従業員身だしなみ管理
- 従業員控室の管理
- 従業員の健康管理
- 原材料受け入れ管理
- 温度管理(冷蔵・冷凍・常温)
- 水の管理
- 施設内外衛生管理
- 清掃方法管理
- 防虫防鼠対策
- 機器・備品管理
- トイレ管理
- 手洗い管理
- 廃棄物の管理
※記録化の方法例:衛生管理表を作成・使用
③の方法
- 分類1:非加熱のまま食べる食品(例 生野菜・サラダ)
- 分類2:加熱してすぐ食べる食品(例 ステーキ・焼き鳥・天ぷら)
- 分類3:加熱と冷却を繰り返す食品(例 スープ・ソースなど加熱後冷まして提供、再加熱して提供する食品)
- 時間管理
- 温度管理
- その他の管理(記録化の方法例:管理表を作成・使用)
例:サラダ(非加熱のまま食べる食品)
5℃以下の冷蔵庫で原材料を保管、調理後は5分以内に提供(温度・時間の基準)
調理直前に冷蔵庫から原材料を出す。原材料は5℃以下の冷水で5分以上洗い水は3回以上は変える。清潔な包丁・まな板でカット(調理方法)
例:ステーキ(加熱してすぐに食べる食品)
中心部が85℃以上で90秒以上加熱(温度・時間の基準)
鉄板の温度は180℃、片面○○分、反対面○○分加熱する(調理方法)
「管理表などの記録を残す」意味は?
日々管理・日々記録を残すことが重要です。
万が一お客様が体調不良などで、自分のお店が食中毒発生原因の疑いを掛けられた時に、記録を残すことで、自分のお店が日々衛生管理を適正に行っていることを主張できます。なにより、今おこなっている作業工程・調理工程を見直し・分析し・必要な部分は改善し・記録することで、食中毒などを未然に防ぐ可能性が高くなります。
HACCPは難しく考えずに、「お客様」「自分のお店」を守るために取り組みましょう。
「HACCPに基づく衛生管理」のお手伝いを弊所が承ります。