飲食店営業

飲食店営業許可とは?

飲食店を営業するためには「食品関係営業の許可」を受ける必要があります。

この許可は「調理業」「製造業」「処理業」「販売業」の4つの分類に分かれています。飲食店は「調理業」に分類されますが、「カフェでケーキのテイクアウト販売をしたい」といった場合は「調理業」「販売業」の両方の許可が必要になります。(細かい基準は各自治体によって異なります)レストラン、居酒屋、食堂、カフェ、バーなどの食事や酒類を提供する店は「飲食店営業」となります。
※似たような営業許可で「喫茶店営業」というものがあります。この場合、アルコールや本格的な食事の提供ができません。(シンクの大きさ・基準が飲食店よりも小さい)

2020年6月に改正食品衛生法が施行され、
飲食店ではHACCP(ハサップ)の実施が義務化されました。

大規模事業者には『HACCPに基づく衛生管理』、小規模事業者や飲食店など特定の業種向けには、簡略化された『HACCPの考え方を取り入れた衛生管理』が求められます。※HACCP(ハサップ)とは:原料の受け入れから製造・調理、製品の出荷までの一連の工程や貯蔵・保管、販売において、食中毒等の健康被害を引き起こす可能性のある危害要因を分析し管理する方法です。

これから飲食店の営業を始めるにあたり、お店の場所はすでに決まっているでしょうか。これから物件を探そうとしている方、既に決まっている方も必ず「用途地域」について確認する必要があります。

用途地域とは?

人が多く住んでいる都市部に置いて、「このエリアは夜間静かな住宅地にして、このエリアは商店街を多くしようこのエリアは歴史的な景観を大切にしよう。」等、各自治体でルールを決めています。この「用途が決められたエリア」のことを「用途地域」といいます。

これは都市計画法という法律に則って作られるルールであり、人々の住みやすい街づくり(公共の福祉の増進)を目的としています。
要するに、「好き勝手な場所にお店などを作ってはダメ」ということになります。

用途地域の調べ方

用途地域は、市区町村役場の都市計画課などで確認することができます。
また、自治体によってはインターネットで情報を公開しています。用途地域に「近隣商業地域」または「商業地域」と表示されていれば問題ないでしょう。

用途地域の制限

用途地域は住居系地域・商業系地域・工業地域の3つのグループに分けることができます。3つのグループをさらに細かく見ていくと、以下の12の地域に分類されます。

  1. 第1種低層住居専用地域
  2. 第2種低層住居専用地域
  3. 第1種中高層住宅専用地域
  4. 第2種中高層住宅専用地域
  5. 第1種住居地域
  6. 第2種住居地域
  7. 準住居地域
  8. 近隣商業地域
  9. 商業地域
  10. 準工業地域
  11. 工業地域
  12. 工業専用地域

営業予定地が「近隣商業地域」「商業地域」であれば特に問題ありません。
深夜種類提供飲食店(以下「深酒」と略します)でない一般的な飲食店であれば「住居専用地域・住居地域(②〜⑦)」でも営業可能ですが、営業面積が規制されている地域(②〜⑤)があるので注意しましょう。また、工業専用地域では飲食店の営業は不可となっています。

特に注意していただきたいのが、東京都の条例で「集合住宅地域(①〜⑦)」においては深酒営業が禁止されています。飲食店の営業はできても深夜営業(0時〜6時までの種類提供を主とした営業)ができない地域があるということです。こういった地域ごとにより条例等で制限が組まれている事もあるため、事前に確認するようにしましょう。

次に必要な設備について整える必要があります。東京都の設備基準を例にどのような設備が必要なのか見ていきましょう。

区画

調理場と客席の境界となるドア等が必要です。多くの飲食店では調理場と客席の堺にスイングドアを設置しています。

調理場の床はタイル・コンクリート・石材などの耐水性の材料を用い、排水が良く、清掃しやすい構造である必要があります。また、清掃等に水が必要な施設にあっては、排水・清掃のために十分な勾配をつけ、床に排水設備を設ける必要があります。

内壁

調理場の内壁は、床から少なくとも1mまでは、耐水性材料などにしておく必要があります。水等による腐蝕を防ぐためです。

天井

調理場の天井は清掃しやすい構造で、配管・ダクト。照明器具等ができる限り露出しないようにします。熱源があり、水を多く使用する施設では耐湿性の材料を用いる必要があります。

明るさ

汚れなどの発見を容易にして施設内を清潔に保つため、必要な照度の確保が必要です。

換気

十分な換気ができること。屋外に廃棄する場合は、近隣に迷惑のかからないようにダクトの高さ、方向に注意が必要です。

手洗い設備

従業員の手指を洗浄消毒するための手洗い器が必要です。なお、手指の再感染防止のため「手指を使わずに使用できる」必要があります(レバー式・自動センサー式など)。ハンドソープの設置も必要になります。

洗浄設備

食品等を洗浄するため、必要に応じて熱湯、蒸気等を供給できるように使用目的に応じた数のシンクが必要です。

冷蔵冷凍設備

食品を保存するために、十分な大きさを有するものが必要です。

保管設備

原材料、食品や器具類等を衛生的に保管できる設備が必要です。また、洗浄剤・薬剤などの保管場所も必要になります。(シンク下の保管もOKです)

汚物処理設備

ふたがあり、対姿勢で十分な要領があり、清掃しやすく、汚液や汚臭の漏れないものとします。

清掃器具の収納設備

調理場専用の清掃器具と格納設備が必要です。

更衣室

従業員の数に応じた更衣室または更衣箱を作業場の外に設ける必要があります。

便所

便所は調理場に影響のない位置、構造とします。専用の流水受槽式の手洗い設備が必要です。

飲食店には食品衛生責任者を置く必要があります。

食品衛生責任者になれるのは、
①栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、と畜場法に規定する衛生管理責任者もしくは作業衛生責任者、船舶料理士、食品衛生管理者の有資格者

②保健所長(特別区にあっては、特別区の区長)が実施する食品衛生責任者になるための講習会または知事の指定した講習会の受講修了者

以上のいずれかの人になります。①の資格を所有していない場合は②の講習会を受講する必要があります。
許可申請時までにどうしても受講が間に合わない場合は、「必ず食品衛生管理者を設置します」という内容の誓約書を提出すれば申請はできます。ただし、申請から3ヶ月経過しても責任者を設置し届出をしないと許可が取り消されてしまう事もあります。事前に余裕を持って受講しておきましょう。

飲食店の場合、30人以上を収容できる比較的大きなお店をオープンする場合には「防火管理責任者」の登録が必要になります。小規模なカフェやラーメン店といった小さなお店では、防火管理者を選定は不要です。(資格取得や届け出は不要)

①30人以上を収容できるお店をオープンしたい場合は、延床面積を確認。
②延床面積が300平米以上の場合は「甲種防火管理者」が必要
③300平米未満の場合は「乙種防火管理者もしくは甲種防火管理者」が必要
④甲種防火管理者と乙種防火管理者では、取得のために必要な講習が異なる。

【提出書類】
防火管理責任者届出
消防計画作成
防火対象物使用開始届

営業許可申請書の作成

営業許可申請書は保健所でもらうことができます。また、自治体によっては申請書類をインターネットでダウンロードすることができます。
申請書の記入について、特に迷うことは無いと思いますが、注意すべき点が2つあります。

自分(申請者)の住所は住民票の記載と同じく書く

後々、深夜の届出やその他の風俗営業許可を申請する方は注意が必要です。

住民票にマンション名や部屋番号が記載されている場合は、申請書にも同じように記載してください。警察署で深夜の届出や風俗営業許可の申請時に住民票と同じ表記になっていないと受理されないことがあるためです。

また、営業所の所在地については、賃貸物件の場合は賃貸借契約書の表記と同じように記載します。自身で所有している不動産の場合は登記事項証明書と同じように記載します。

申請者の欠格事項

欠格とは必要な資格を備えていないことです。

申請書類の欠格事項に該当している人は、飲食店営業の許可を受ける資格がないということです。
過去に許可を受け食品営業をしていて、何らかの処分を受けたことがある場合、処分から2年経過していない場合は欠格事項に該当する可能性があります。個人の場合は自分が該当しなければ良いのですが、法人で申請する場合は役員のうち1人でも該当者がいると欠格事項に該当してしまうので注意が必要です。

図面の作成

調理場の設備はわかるように平面図を添付する必要があります。図面がない場合は、手書きで作成するか、CADソフト等を用いて作成します。
保健所の担当者はこの図面を見て営業設備が揃っているか確認します。

その他添付書類

申請書類が完成したら、次は添付書類を揃える必要があります。

食品衛生管理者の資格証明

営業所ごとに、食品衛生責任者1名が必要になります。調理師などの資格所有者であれば資格の免許証(調理師免許証など)を用意します。食品衛生責任者講習を受けた人は講習後にもらえる食品衛生者手帳を用意します。申請時に資格者証の原本を提示する必要があります。

水質検査証コピー(貯水槽の場合)

営業所の入ったビルで貯水槽を使っている場合、水質検査証のコピーが必要になります。貯水槽は最低でも年に1回水質検査をおこなっているはずなので、不動産会社や管理会社から直近1年以内の検査証のコピーをもらう必要があります。

法人番号の記載(法人の場合)

法人で申請する場合のみ必要になります。
自治体によっては、登記事項証明書(コピー)の添付も同時に求められます(用意しておいた方が無難です)

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